2013年7月7日日曜日

ゆとり教育が問題ではなく、ゆとりのない社会が問題だと思う 3 学力低下は証明できない。

『ゆとり教育』の代名詞といえば『学力低下』と言われています。最近にかぎってではないですが、そうした原因はゆとり教育にあるということがよくメディアで報道されています。
今日はそんな『学力低下』の真実を考えてみたいと思います。
そもそも学力は本当に低下しているのか、もしそうなら、本当にそれは「ゆとり教育」だけが問題なのでしょうか。


『学力低下』ってどこの情報?


まず学力低下といわれている理由の情報のでどころについてですが、

PISAとTIMSSという調査があります。

OECD生徒の学習到達度調査Programme for International Student Assessment, PISA

とは、経済協力開発機構(OECD)による国際的な生徒の学習到達度調調査のことであり、日本では国際学習到達度調査とも言われています。

国際数学・理科教育調査(TIMSS)とは、国際教育到達評価学会(IEA)が行う小・中学生を対象とした国際比較教育調査である(Trends in International Mathematics and Science Study)の事であり、2003年以降の調査は国際数学・理科教育動向調査といわれています。

上記の国際的な学力調査の結果を受けての推察ととられるが、実際のこれまでの状況はどうなのでしょうか。

PISA日本の国際順位

2000年:32の国と地域が参加
2003年:41の国と地域が参加
2006年:56の国と地域が参加
2009年:65の国と地域が参加

PISA日本の国際順位は2000 年からの4回の調査で、
2000 年は読解力8位、数学的リテラシー1位、科学的リテラシー2位だが、
2003 年は読解力14 位、数学的リテラシー6 位、科学的リテラシー2 位、
2006 年は読解力15 位、数学的リテラシー10 位、科学的リテラシーは6 位
2009 年は読解力9位、数学的リテラシー8 位、科学的リテラシーは5 位
と2000年から2009年、全ての科目において国際比較から順位を下げており、このことから学力低下といわれ問題視されているが、2009年に関しては全ての科目において上昇している。
また、PISA の参加国は2000 年、2003 年、2006 年の順で32 カ国、41 カ国、57 カ国と実施するたびに増えており、多少の得点誤差を考えるならば、順位は確かに下がってしまっているが、2009年には再び上昇傾向も見られている部分があり問題視するないように思う。

以下が詳細の順位となる。

数学的リテラシー

2000200320062009
1.日本557
2.韓国547
3.ニュージーランド537
4.フィンランド536
5.オーストラリア533
カナダ
7.スイス529
8.イギリス529
9.ベルギー520
10.フランス517
1.香港550
2.フィンランド544
3.韓国542
4.オランダ538
5.リヒテンシュタイン536
6.日本534
7.カナダ532
8.ベルギー529
9.マカオ527
スイス
1.台湾549
2.フィンランド548
3.香港547
韓国
5.オランダ531
6.スイス530
7.カナダ527
8.マカオ525
リヒテンシュタイン
10.日本523
1.上海600
2.シンガポール562
3.香港555
4.韓国546
5.台湾543
6.フィンランド541
7.リヒテンシュタイン536
8.スイス534
9.日本529
10.カナダ527

読解力

20002003 20062009
1.フィンランド546
2.カナダ534
3.ニュージーランド529
4.オーストラリア528
5.アイルランド527
6.韓国525
7.イギリス523
8.日本522
9.スウェーデン516
10.オーストリア507
1.フィンランド543
2.韓国534
3.カナダ528
4.オーストラリア525
リヒテンシュタイン
6.ニュージーランド522
7.アイルランド515
8.スウェーデン514
9.オランダ513
10.香港510
1.韓国556
2.フィンランド547
3.香港536
4.カナダ527
5.ニュージーランド521
6.アイルランド517
7.オーストラリア513
8.リヒテンシュタイン510
9.ポーランド508
10.スウェーデン507
1.上海556
2.韓国539
3.フィンランド536
4.香港533
5.シンガポール526
6.カナダ524
7.ニュージーランド521
8.日本520
9.オーストリア515
10.オランダ508

科学的リテラシー

2000200320062009
1.韓国552
2.日本550
3.フィンランド538
4.イギリス532
5.カナダ529
6.ニュージーランド528
オーストラリア
8.オーストリア519
9.アイルランド513
10.スウェーデン512
1.フィンランド548
日本
3.香港539
4.韓国538
5.リヒテンシュタイン525
オーストラリア
7.マカオ525
8.オランダ524
9.チェコ523
10.ニュージーランド521
1.フィンランド563
2.香港542
3.カナダ534
4.台湾532
5.エストニア531
日本
7.ニュージーランド530
8.オーストラリア527
9.オランダ525
10.リヒテンシュタイン522
1.上海575
2.フィンランド554
3.香港549
4.シンガポール542
5.日本539
6.韓国538
7.ニュージーランド532
8.カナダ529
9.エストニア528
10.オーストリア527



 TIMSSの日本の国際順位

中学2年生の調査参加国、

1995年:41の国と地域が参加
1999年:38の国と地域が参加
2003年:46の国と地域が参加
2007年:50の国と地域が参加
2011年:42の国と地域が参加

数学における日本の中学2年生の順位は、

1995年のTIMSSが3位
1999年のTIMSS-Rが5位
2003年のTIMSS2003が5位
2007年のTIMSS2007が5位
2011年のTIMSS2011が5位 となっている。

理科における日本の中学2年生の順位は、

1995年のTIMSSが3位
1999年のTIMSS-Rが4位
2003年のTIMSS2003が6位
2007年のTIMSS2007が3位
2011年のTIMSS2011が4位 となっている。

TIMSSについてはここ数回ほぼ横ばいの順位を記録している。参加国についても増えたり、減ったりがあり、どうしても統一的な見方はできないかもしれないが、ここでの『学力低下』ということは見受けられない。

いかが詳細の順位となる。

TIMSS算数の成績(小学4年)

TIMSS(1995)TIMSS2003TIMSS2007TIMSS2011
1.シンガポール625
2.韓国611
3.日本597
4.香港587
5.オランダ577
6.チェコ567
7.オーストリア559
8.スロベニア542
9.アイルランド550
10.ハンガリー548
1.シンガポール594
2.香港575
3.日本565
4.台湾564
5.ベルギー551
6.オランダ540
7.ラトビア536
8.リトアニア534
9.ロシア532
10.イギリス531
1.香港607
2.シンガポール599
3.台湾576
4.日本568
5.カザフスタン549
6.ロシア544
7.イングランド541
8.ラトビア537
9.オランダ535
10.リトアニア530
1.シンガポール606
2.韓国605
3.香港602
4.台湾591
5.日本585
6.北アイルランド562
7.ベルギー549
8.フィンランド545
9.イングランド542
9.ロシア542

 

TIMSS数学の成績(中学2年)

TIMSS(1995)TIMSS-R(1999)TIMSS2003TIMSS2007TIMSS2011
1.シンガポール643
2.韓国607
3.日本605
4.香港588
5.ベルギー565
6.チェコ564
7.スロバキア547
8.スイス545
9.オランダ541
10.スロベニア541
1.シンガポール604
2.韓国587
3.台湾585
4.香港582
5.日本579
6.ベルギー558
7.オランダ540
8.スロバキア534
9.ハンガー532
10.カナダ531
1.シンガポール605
2.韓国589
3.香港586
4.台湾585
5.日本570
6.ベルギー537
7.オランダ536
8.エストニア531
9.ハンガリー529
10.マレーシア508
1.台湾598
2.韓国597
3.シンガポール593
4.香港572
5.日本570
6.ハンガリー517
7.イングランド513
8.ロシア512
9.アメリカ508
10.リトアニア506
1.韓国613
2.シンガポール611
3.台湾609
4.香港586
5.日本570
6.ロシア539
7.イスラエル516
8.フィンランド514
9.アメリカ510
10.イングランド509

TIMSS理科の成績(小学4年)

TIMSS(1995)TIMSS2003TIMSS2007TIMSS2011
1.韓国597
2.日本574
3.アメリカ565
4.オーストリア565
5.オーストラリア562
6.オランダ557
7.チェコ557
8.イギリス551
9.カナダ549
10.シンガポール547
1.シンガポール565
2.台湾551
3.日本543
4.香港542
5.イギリス540
6.アメリカ536
7.ラトビア532
8.ハンガリー530
9.ロシア526
10.オランダ525
1.シンガポール587
2.台湾557
3.香港554
4.日本548
5.ロシア546
6.ラトビア542
7.イングランド542
8.アメリカ539
9.ハンガリー536
10.イタリア535
1.韓国587
2.シンガポール583
3.フィンランド570
4.日本559
5.ロシア552
5.台湾552
7.アメリカ544
8.チェコ536
9.香港535
10.ハンガリー534

 

TIMSS理科の成績(中学2年)


TIMSS(1995)TIMSS-R(1999)TIMSS2003TIMSS2007TIMSS2011
1.シンガポール607
2.チェコ574
3.日本571
4.韓国565
5.ブルガリア565
6.オランダ560
7.スロベニア560
8.オーストリア558
9.ハンガリー554
10.イギリス552
1.台湾569
2.シンガポール568
3.ハンガリー552
4.日本550
5.韓国549
6.オランダ545
7.オーストラリア540
8.チェコ539
9.イギリス538
10.フィンランド535
1.シンガポール578
2.台湾571
3.韓国558
4.香港556
5.エストニア552
6.日本552
7.ハンガリー543
8.オランダ536
9.アメリカ527
10.オーストラリア527
1.シンガポール567
2.台湾561
3.日本554
4.韓国553
5.イングランド542
6.ハンガリー539
7.チェコ539
8.スロベニア538
9.香港530
10.ロシア530
1.シンガポール590
2.台湾564
3.韓国560
4.日本558
5.フィンランド552
6.スロベニア543
7.ロシア542
8.香港535
9.イングランド533
10.アメリカ525


どこに学力低下を示す数字があるのか?逆に向上している部分を評価すべきではないのか?


前述のとおり、具体的に『学力低下』ということを明確に説明できる資料はこれぐらいだと思うが、実際のところ、基準とすべき数字自体もあやふやなものである。

そもそも直近の2009年のPISAと2011年のTIMSSは本格的に『ゆとり教育』がはじまって、PISAについては7年目、TIMSSについては9年目に行われたものであり、当時小学生として入学された方が、中学校1年生、3年生の時になる。その中で上昇している数値などもあることから、一概に『ゆとり教育』が問題視されることにはこの調査が理由ならば甚だおかしいとしか言いようがないと思います。

ましてゆとり世代だからなどのお決まり文句は通用しないのではないか?気の毒に思えて仕方がない。ちなみに私は2002年は義務教育など当に過ぎている年齢である。

次回は私の私見的な部分も含めて考えていきたいと思う。


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